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日本の神話

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物語「日本武尊」(上) 四、 木 曽 路

■立ち読みコーナー

物語 日本武尊〈上〉
目 次



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・主な関係人物のあらまし
・関係系図


 一、 高  屋  宮 ・・・
 二、 紀  水  門 ・・・
 三、 行  縢  山 ・・・
 四、 木  曽  路 ・・・
 五、 浮  羽  邑 ・・・
 六、 弟  橘  姫 ・・・
 七、 草  薙  剣 ・・・


・付録 年表

4頁
6頁
9頁

17頁
57頁
91頁
127頁
167頁
207頁
243頁

279頁
立ち読みコーナーでは、書籍(田中繁男著)の内容(一〜七)の一部を無料公開しています。書籍の購入の参考にしていただければ幸いです。
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もし、宜しければご連絡ください。(田中繁男著シリーズならすべて対応しています。)
連絡先:info@nippon-shinwa.com 田中千瑞禾宛


 四、 木 曽 路    
※ 実際の書籍には、ルビがついています。
四、 木 曽 路


 景行天皇の二十八年(西暦二七八年)春正月二十日、日本武尊の一行は吉備国へと到り、

吉備武彦に借りていた兵百ほどを返した。一兵の損耗もなかったことに吉備武彦は大いに

驚き、それで申し上げたのである。


「皇子、いや尊には見事な初陣でございました。それにいたしましても兵を用いませずに、

御自らのお生命をかけての御偉業、当の川上梟帥にしましても、そこのところに感服いた

しましたのでしょう。率先垂範、将帥先頭とは申しますが、なかなかできるものではござ

いません」


 と武彦は十五年ほども前になる大足彦天皇に従っての九州遠征の昔を偲びながら、しみ

じみと述べ、さらに続けて申し上げた。


「ただ武威があるというだけでは、川上梟帥の千余りもの兵を、血ぬらずして和らげるこ

となど、到底できますものではございませぬ。・・・・尊には常人のおよびませぬ何か、

仁・・・・また徳と申し上げますものが備わっておありなのでございます・・・・」


 日本武尊は、吉備武彦の申し上げるところを黙って聞いていたが、その武彦の口吻の中

に、疲れのようなものを感じては尋ねたのである。


「何か、困ったことがあるのであるか」


 やっと十七歳になったばかりの日本武尊であったが、その口ぶりには、すでに王者の風

韻が窺知された。川上梟帥に勝利した自信がなさしめるところのものでもあったのであろ

う。


「困ったこと・・・・。面目もございません。仰せのとおりでございます。実は、この吉備国

は先代の活目入彦天皇(垂仁天皇)の二年に、わが祖の吉備津彦が遣わされまして以来、

大方は和らいでいますのですが、この穴海の対岸の児島の端に盤踞いたします賊が、いま

だ充分には和らぎませず、穴海の戸つまり穴戸を時折ふさぎましては、困っているのでご

ざいます」


 穴戸とは吉備ノ穴海へ出入りする東西の海峡のことであり、児島とは今の児島半島が半

島となる以前の島である。また吉備津彦の西道(吉備あたり)への派遣は、『日本書紀』

では崇神天皇の十年(癸巳)となっているが、ここでは崇神天皇の崩御は、その六十八年

ではなく八年(辛卯)と考えるところより、西道を含む四道将軍の派遣は同干支の垂仁天

皇の二年(癸巳)と考えるわけである。


「そなたの武威を以てしても、和らぐことはないのであるか」


「面目もございません・・・・」


 と吉備武彦は、頭を垂れる以外になす術はなかった。


「私は千余りの兵を和らげたとはいえ、川上梟帥ひとりを和らげることはできずに、あや

めてしまった。それまでは、しかし、あやめることだけを考えていたのである・・・・」


「・・・・」


「そのあと、千余りの兵が帰順してきたと知りえた瞬間、私は私の非を悟ったのであった。

川上梟帥ひとり和らげえられなかったという非を・・・・。それまで私は、思いもよらず簡単

に勝ちえた勝利に、有頂天になっていたのである」


 と日本武尊は、忸怩たる思いを表情に滲ませながら、心底より述べた。


「おかげで無事に還りました私の兵の、その一兵に至りますまで、まるで自分が川上梟帥

を一撃のもとに撃ち取ったかのように喜んでいました。それが当然・・・・と、やつかれもま

た皆と共に快哉を叫んでいたのでございます。でございますのに尊には・・・・。それが尊の

御仁徳のなさしめますところのものかと、今さらに気づきました次第でございます」


「・・・・」


「その尊の御仁徳により、児島に盤踞します賊を和らげて下さいませ」


 と吉備武彦は、自身の至らぬところを素直にさらけ出しては、再び頭を垂れるのであっ

た。


「それでは、明後日にでも児島へと渡るものとする。勿論、和戦両睨みの構えである」


 と日本武尊が児島へ出向く日と定めた日の前日、その児島の南西部の要害による鷲羽と

名乗る賊の首魁が、船を連ねては吉備津の日本武尊のもとへと訪ねてきて申し上げた。


「やつかれ、筑紫より還りました兵の端々より、日本武尊の御威徳を漏れ聞き、こうして

参じました次第でございます」






・・・つづく



物語 日本武尊〈上〉
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・主な関係人物のあらまし
・関係系図


 一、 高  屋  宮 ・・・
 二、 紀  水  門 ・・・
 三、 行  縢  山 ・・・
 四、 木  曽  路 ・・・
 五、 浮  羽  邑 ・・・
 六、 弟  橘  姫 ・・・
 七、 草  薙  剣 ・・・


・付録 年表

4頁
6頁
9頁

17頁
57頁
91頁
127頁
167頁
207頁
243頁

279頁
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